ココ・シャネルが生きた時代

シャネルの創設者ココ・シャネルは、1883年8月19日フランスの南西部で生ま れた。12歳を迎える頃に母を亡くし、その後、商人であった父に捨てられると 、姉と共に孤児院や修道院で育てられる。その下の妹と二人の弟は、親類に預 けられ、また農家に養子に出されたりした後、父親はそれっきり姿を現さなか った。18歳で孤児院を出ると、田舎町でお針子をしながら歌手を夢見ていた彼 女の原点は、少女期の孤児院で育まれたといっても過言ではないかもしれない。

このような状況では、当たり前のことではあるが彼女は愛に飢えていた。孤 児であるという屈辱に耐えながら、ひたすら愛されたいと願う彼女の激しい生 命の要求は、彼女を傲慢へと導いた。その時期の周囲への反抗としての彼女の 傲慢さは、彼女なりの愛されたいという自己表現でしかなかったが、厳しい孤 児院での教育が、少女時代の彼女に、人生とは常に重大なテーマを抱えている ものなのだと認識させていたのだろう。 そのような過酷な環境の中で、孤児院では裁縫を仕込まれ、図書館で本をむさ ぼるように読み、ひたすら「自由」を夢見、ひたすら自由になりたいと願って いた。そして、自由を手にいれるためには、お金が必要だとお金持ちになるこ とを決意した。

19世紀から20世紀、世界が、第一次世界大戦、世界恐慌、第二次世界大戦など と、激動に揺れ動くさなか、彼女の生涯と共にブランド「シャネル」は生まれ た。現代の日常生活の中で、ふとシャネルを手にする時、我々は、激動の生涯 を生き抜いたココ・シャネルからのメッセージに、思い思い耳を傾けているの かもしれない。