シャネルスタイルのはじまり

シャネルが提案したシャネルスタイルは、今では当たり前のようになっている が、当時は斬新でありモードの反逆者でもあった。現代、誰しもがおしゃれの 一貫としてかぶる帽子こちらも例外ではない。 孤児院で裁縫技術を身に付け学び、その腕が生涯彼女を養っていく。孤児院を でて歌手を目指したシャネルは、1903年、二十歳、歌っていた居酒屋で最初の 愛人と出会う。大富豪であった彼は、シャネルに食べるために働かなくてよい 生活を与えてくれた。

贅沢な生活に招き入れられた彼女は、安楽な生活を手に いれたがすぐに退屈する。そして、男の期限ひとつで生活が左右される娼婦や 、裕福な家系に生まれたというだけで、何もせずくだらないおしゃべりに一日 を費やす女たちに嫌気がさした。そんな彼女たちは、頭には大きな帽子をかぶ り、コルセットでぎゅうぎゅうに締め上げられたドレスを着込み、ダラダラと ドレスの長い裾を引きずりふらつきながら歩いていた。シャネルは、そんな女 性たちと一緒だと思われることを強烈に拒んだ。その思いは彼女のファッショ ンに大きな影響を与え、彼女を飛躍的に変身させていった。

当時の富裕層の多くは、競馬を娯楽として好んだ。大きな帽子に、コルセット で締め上げられた長いドレスをまとった女性たちの中、シャネルは馬に乗るこ とを自身から学び、乗馬ズボンに蝶ネクタイ、飾りの一切のない上着を着こな し、頭にきちんとフィットする小さな帽子を被った。多くの女性は、ドレスの まま騎乗し、横座りのまま乗馬を楽しむのが常であったが、シャネルは独特の スタイルで男性と同じように乗馬を楽しんだ。

シャネルは誰の目にも新鮮であり、シンプルでありシックであり、目立ってい た。競馬場に出入りする彼女を目にした女性たちは、彼女の被る小さい帽子に 目を奪われ注目の的となり、次々と彼女に注文を浴びせかけた。大きな振り子 のような帽子を被っていた女たちは、シャネルの作る小さな帽子に夢中になっ た。1908年、シャネル25歳、パリに最初の帽子店を開く。