モードとスタイル

シャネルは、ファッションについてこう語っている。 ファッションにおける「モードとは移り変わるもの」「スタイルは普遍的なもの」。 その区別を語る上で、その両者の違いが意味することは、ブランドたる「シャ ネル」とは、単なる「シャネルモード」ではなく、「シャネルスタイル」だとい うことだ。

実際、ココ・シャネルは、年に何万のスーツを売りさばきながら、自身はいつ も同じスーツを着ていた。着たきり雀と呼ばれるほどの彼女にとっての贅沢と は、よく仕立てられた服で、1つのコスチュームが五年くらいきちんとした状 態で着られるといったものだった。ずっと何代にもわたって使われるような本 物。それこそが、エレガンスであり、彼女は正真正銘の本物の贅沢を好んだ。 見せかけの美しさではない本物のエレガンス。彼女自身の着たい服が、彼女の もの作りの真髄であり、商品化されるべきコンセプトであった。そこに長い年 月を経ても、世界中で愛され続ける、ブランドシャネルの本質がみえてくる。 「私の顧客たちは、アクティブな女性たち。活動的な女性には着心地が良い服 が必要。袖をまくりあげられるような服が必要なの。」20世紀のスピリットを 表現するリアリティー。彼女は時代に反抗しながらも、世界中の人々が彼女を 求めたのである。ファッションモードを芸術ではなく、はっきりと商売と言い 切る大胆な姿勢がそこにあった。彼女は初のビジネスウーマン、女性実業家と して、19世紀の男性による男性のための女性のファッションに、「女性の自由」 という革命を起こしていくのである。