恋多き多き女と仕事

ココ・シャネルは、恋多き女性であった。一流と呼ばれる男たちとの浮き名が 数多く残されている。これだけ多くの逸話が残されていても、彼女の人生の中 に、結婚の選択はなかった。もちろん選択を強いられた分岐点は、幾枝もあっ たであろうが、自力でシャネル帝国を築きあるという偉業を成し遂げ、莫大な 富と名声を手にした彼女は、八十七歳まで職場での最前線を現役で貫き、かつ その時代の女性には考えられないような超人的なヴァイタリティで生き抜いた 。

波乱な人生の中で彼女は、自身の才能を伸ばす男性に巡りあっている。その中 でも最も決定的な出会いと言われているのが26歳の時の出会いである。彼は 本気で彼女のビジネスを応援し、その存在が生涯彼女を支え続けたと言っても 過言ではないかもしれない。彼とは、残念ながら交通事故による死別を遂げ、 彼女を失意のどん底に陥れる。どんな新しい恋人に巡り会おうとも、ビジネス で大成功を納めようとも、彼女の心の空洞は彼の為に空けられていた。それを 象徴するかのごとく、シャネルの社のロゴマークはイニシャル「C」が背中合 わせに組み合わされている。シャネルの「C」と死別を遂げた彼のイニシャル が寄り添った形で表現されているとも言われている。恋と仕事、その両立が創 作への意欲であり、インスピレーションの源でもあった。そのような生き方が 多くの女性の指示を得ているのも確かである。